No.117
医療逼迫を防ぐ? 抗体カクテル療法とは
コロナウイルスが細胞にくっつくのを抗体が防ぐ
緊急事態宣言が続くなか、新型コロナ感染症に新しい治療法が導入されることになりました。7月に特例承認された2つの中和抗体を混ぜ合わせて点滴する抗体カクテル療法です。
体内に入った抗体は、ウイルスと細胞がくっつくことを邪魔します。細胞にくっつくことができなければ、ウイルスは増えることができません。(図参照)
そのことで重症化が防がれることになります。
重症化リスクのある初期の患者が対象
抗体カクテル療法が適用されるのは、下記のような条件にあてはまる患者となります。
・発症から7日以内
・肺炎を起こしていない初期の患者
・重症化リスクのある患者
重症化を防ぐことは、患者自身のメリットだけでなく、逼迫するコロナ対策病床に余裕をもたせることができます。
残念ながら、患者の側から抗体カクテル療法をリクエストすることはできません。点滴で投与されるために、自宅やホテルでの療養者は基本的に対象となっていない問題もあります。
重症化リスクのある人は、きちんと伝えることが大切です。
重症化因子
肥満(≧BMI30)・糖尿病・慢性呼吸器疾患(気管支喘息含む)・現在治療が必要な重度の心血管疾患(症状や心不全伴う冠動脈疾患、心筋症など)・高度慢性腎臓病(GFRが30未満が目安)・治療中の悪性腫瘍(手術、抗がん剤など治療期間を終えたものを除く)・免疫低下状態(ステロイド等の免疫抑制剤使用、臓器移植後、血液・骨髄移植、HIV、原発性免疫不全等)・肝硬変
(神奈川県 「カクテル療法対象者の基準」より作成)