No.115
日本人の免疫をすり抜ける? インド型変異株の脅威
日本人に多い免疫特性を逃れる性質が判明
新型コロナウイルスとの戦いは、世界各地で新しく変異をした新規株との戦いに移り変わりつつあります。
WHO(世界保健機関)が、懸念される変異株として指定しているのは7種類。
そのなかで日本で広がっているのは2種類です。
アルファ株(英国型)とデルタ株(インド型)です。
このデルタ株について、日本の研究チームが注目すべき研究結果を発表しました。デルタ株には、日本人に多い細胞免疫から逃れることがわかったのです。
人間の免疫には、細胞免疫と液性免疫があります。細胞免疫は、キラーT細胞、ヘルパーT細胞といったリンパ球が、身体に侵入した異物を排除することで身体を守る仕組みです。
排除するためには、異物を見つけなくてはなりません。それを担うのが、新型コロナウイルスの外のトゲトゲの部分(スパイクタンパク質)を見つける「HLA-A24」という抗原です。日本人の約6割がこの抗原を持っています。
ところが変異したデルタ株は、この抗原から逃れる性質を持っているのです。
さらに研究では、感染力を強める働きもわかったとのことです。
日本人の多くが持っている細胞免疫から逃れる性質を持ち、感染力が強いデルタ株は、日本にとってはより危険な変異株となる可能性があります。
ワクチンの効果は?
変異株で心配なのは、変異によってワクチンの効果が低下することです。
先に、デルタ株が広がった英国の研究では、ファイザー社のワクチンは十分な効果を持つとの見解がでています。モデルナ社のワクチンも、メーカーの研究では十分効果があるとのことです。
ただし液性免疫にかかわる中和抗体を十分に体内に備えるためには、2回接種が必要となっています。
日本では、まだワクチンの2回接種を終えた人が多いわけではありません。
感染力の強さを考えると、不要不急の外出を控える、手洗いやマスクの着用、密集・密接・密室を避けるといった感染予防の取り組みは、これまで以上に心がける必要があります。