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レディー・ガガが告白した難病「線維筋痛症」とは?
ささいな刺激で激痛が走り、自力生活は困難に
世界的な人気歌手レディー・ガガさんは最近になって今年12月以降の活動休止を発表、線維筋痛症という難病を患っていることを公表しました。線維筋痛症とはあまり聞きなれない名前の病気ですが、いったいどのような病気なのでしょうか。
ガガさんが患っているという「線維筋痛症」は、筋肉などの強い痛みをはじめとするさまざまな症状を引き起こす難病です。日本国内でも200万人もの患者がいるといわれますが、いまだその原因は明らかになっていません。男女比1対5と女性に多く、年齢は40〜50代と中年世代に多くなっています。
線維筋痛症の症状の代表はなんと言っても「痛み」です。全身あるいは一部の筋肉や関節の軽い痛みから始まり、治る気配がないまま進行してゆきます。痛みの程度は軽いものから激痛までさまざま。痛みの部位が移動することもあります。命にかかわることはありませんが、重症化すると髪を触られたり、気温や音などのささいな刺激で激痛が走り、仕事に支障をきたすのはもちろん日常生活さえままならなくなってしまいます。
さらに痛み以外にも、全身のこわばり、疲労感や倦怠感、睡眠障害、頭痛や頭重、過敏性腸炎、微熱、口や目の渇き、めまい、下痢や便秘、しびれ、うつ、記憶障害、集中力欠如、不安感などといったさまざまな症状を呈します。
異常が発見できずに他の病気と診断しがち
線維筋痛症の原因はいまだに解明されていませんが、脳や脊髄の痛みの信号を伝えたり、抑えたりする機能に異常が起こって抑えが効かなくなることで、ささいな刺激でも痛みを感じるようになるのではないかと考えられています。心理的・肉体的ストレス、事故や手術などによる外傷が引き金となって発症するのではないかと言われ、脳内の血流との関係も疑われています。
線維筋痛症は患部を血液検査や画像検査などで調べても炎症などの異常が見られないため、自律神経失調症や更年期障害などと診断されることもしばしばです。正しい診断は、アメリカリウマチ学会の診断基準を参考に痛みの範囲や強さを調べることで可能となります。
線維筋痛症の治療に特効薬はないため、薬物療法で鎮痛薬(効かないものも多い)や、うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬などの向精神薬、睡眠調整薬、リウマチ薬などの膠原病薬などを組み合わせて用いられます。また、有酸素運動などの運動療法、鍼灸やマッサージ、患者の認知の癖を矯正する「認知行動療法」などの心理療法など、さまざま療法の効果も報告されています。