No.92
水素水表示に国民生活センターが改善要求
表示より実際の濃度が低い銘柄も
健康によいとして人気の「水素水」ですが、国民生活センターへの相談件数はこの5年間で2260件と急増し、問題となっています。
こうした事態を受けた同センターでは、高濃度水素を含むとする容器入り水素水10銘柄と水素生成器9機種のテストを行い、表示や水素の濃度、広告などを調査。その結果を昨年12月に発表しました。
まず容器入の水素水ではペットボトル2銘柄で水素ガスが検出されなかった一方、蛇口に使うタイプの2銘柄は表示通りの濃度でした。また、水素ガスの濃度表示については、表示のあった水素水5銘柄のうち3銘柄は表示値より低く、生成器でも表示のあった5銘柄のうち3銘柄も表示値より低い数値を記録しました。
さらに同センターではテストした商品を扱う事業者へのアンケート調査も行い、水素水を飲むことで期待できる効果を尋ねたところ、水分補給がもっとも多く、次いで美容、アンチエイジングと続きました。
厚労省は「水素ガス吸入」を先端医療Bに追加
一方、水素水の広告については、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品であれば体への効能や効果を表示できますが、これまでそれらに許可・届け出された水素水は皆無です。ところが、13の商品で「悪玉活性酸素を無害化する」などといった健康保持増進効果と受け取れる記載があり、医薬品医療機器等法、健康増進法、景品表示法などに抵触するおそれがあります。
これらの結果を踏まえ、国民生活センターでは事業者に対して表示の改善と水素濃度の適正表示を要望。また生成器で作る水素の濃度が変動する場合は具体的要因を示すように求めました。さらに、消費者庁や厚生労働省に対しても、法に抵触する可能性がある業者には表示の改善を指導するよう要望しました。
一方、昨年12月には厚生労働省が「水素ガス吸入」を「先端医療B」に追加して、心肺停止後症候群を対象とした臨床研究がスタート。臨床研究を通じて水素ガスの効果を実証するプロジェクトが規制強化と並行して進むことになりました。