No.90
米でも初の薬剤耐性「新型カンジダ症」患者
すでに死者も。CDCが世界的脅威と警鐘
薬剤耐性を持つ真菌の感染によって死亡する恐れもある感染症「新型カンジダ症」のアメリカ初の患者が最近報告されました。
アメリカ疾病対策センター(CDC)の11月の「週間疾病率死亡率報告」によると、2013年5月から2016年8月までの期間に米国内で報告された患者は7人、同期間後に感染が確認された患者は6人で、計13人のうち4人が死亡したといいます。
新型カンジダ症の原因となるのは「カンジダ・アウリス」と呼ばれる真菌で、医療現場で感染が広がっており、すでに今年6月にCDCが世界的脅威になりつつあるとの警鐘を発しています。
実は同菌が最初に発見されたのは日本(2009年)で、その後、韓国、インド、クウェート、パキスタンなどのアジア諸国をはじめ、南米やアフリカ、そしてイギリスでも患者が報告されています。
薬剤耐性で薬も効かず、治療は困難
従来のカンジダ症の原因菌である「カンジダ菌」(カンジダ・アルビカンス)はどこにでもいる常在菌で、通常は感染しても発症しませんが、病気や疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると発症。とくに乳幼児や高齢者などは免疫力が低いため、要注意です。
また感染経路としては、従来型は感染者や菌の付着物などとの接触で感染しますが、新型の感染経路については現時点では明らかになっておらず、患者の外耳道や尿、血液などから発見されたことだけが分かっています。
一方治療に関しては、従来型にはイミダゾール系などの抗真菌剤が効果を発揮しますが、問題は今回の新型が薬剤に抵抗を示す「薬剤耐性」を持っていることで、治療が困難になって最悪の場合死亡する恐れが懸念されています。
新型カンジダ菌による症状についてもいまのところ詳しい発表はありませんが、これまでのカンジダ症は皮膚や口内や性器などの粘膜で発症し、皮膚や粘膜が裂けるなどします。口内では、口端や唇などに発疹ができ、偽膜性白苔(はくたい)という白い膜ができたり、唇が赤く腫れ上がったり、舌が痛くなったり、飲み込みにくい、味覚異常や口臭などを生じます。エイズ患者などではカンジダ菌が危険な敗血症を引き起こして、死に至る可能性もあります。