若く見える人の理由が分かった!
人間には年のわりに若く見える人がいるかと思えば、逆に老けて見える人もいます。
もしその理由を知ることができれば人類にとって夢の知らせですが、その理由が実はある遺伝子の変異にあったという画期的研究結果が先ごろ発表され、注目を集めています。
今年4月、エラスムスMC大学などのオランダの研究チームは、「MC1R」(メラノコルチン1レセプター)という遺伝子において人を実際の年齢よりも平均2歳老けさせる変異が特定されたという研究論文を米科学誌「カレント・バイオロジー」オンライン版に発表しました。欧州における他の2つの大規模研究でも同様の結果が得られたといいます。
見た目年齢にかんしては、遺伝的要因や環境的要因、さらには健康状態などがかかわっていることがこれまでの研究で明らかになっていますが、それを遺伝子変異で説明した初の論文となりました。
永遠の若さを求める人類の夢が実現か
研究では、2600人以上の高齢者のゲノム(遺伝情報)を対象に、顔のデジタル画像を使ってしわによって実年齢より老けて見える人のDNAの変異を調査。結果、年齢、性別、皮膚の色、日焼けによる損傷などにかかわらず、顔の見かけ年齢にもっとも深く関与していたのがMC1R遺伝子のDNA変異だったということが判明したのです。
MC1Rはメラニンの合成を抑制することで炎症抑制やDNAの傷の修復などに関与する遺伝子で、皮膚や眼の組織に存在しています。同遺伝子の変異によって黒色腫(メラノーマ)という悪性皮膚がんのリスクが高くなることも明らかになっていますが、こうした遺伝子の働きが人の見かけに影響を及ぼす可能性があることを研究チームは示唆しています。
研究チームでは、遺伝子変異による見かけ年齢の変化は喫煙のそれと似ており、類似する遺伝子が発見されればそれらによる人の顔の変化への影響も明らかになり、いつまでも若く見えたいという人類の夢を実現できる可能性があると語っています。