No.87
ついに死者も・・「ダニ媒介脳炎」にご注意!
マダニに刺されて死亡 。患者は23年ぶり
この夏、北海道の40代男性がマダニにかまれて死亡したことが明らかになり、道内に不安が広がっています。
男性は7月中旬に草やぶでマダニにかまれて、ウイルス性の「ダニ媒介性脳炎」を発症し、8月13日に亡くなりました。同脳炎の国内での患者は1993年以来2例目で、死者は初めてといいます。
ダニ媒介性脳炎は、マダニによって媒介されるフラビウイルス(日本脳炎と同じ分類)による感染症で、感染すると急性脳炎を引き起こします。
この脳炎は日本ではあまり知られていませんが、世界では決してまれな病気ではありません。北海道に隣接するロシアのロシア型春夏脳炎と中央ヨーロッパ型ダニ脳炎が代表的で、患者は毎年6,000 人以上、多い年には約10,000人に達し、多数の死者が報告されています。一方日本では、北海道の一部地域でウイルスが見つかっています。
インフルエンザに似た症状の後、脳炎に進展
ダニ媒介性脳炎はウイルスを保有するマダニに咬まれることによって感染します。感染したヤギや羊の乳を飲んで感染することもありますが、人から人に感染することはありません。
その症状としては、7?14日の潜伏期間を経て発熱や頭痛、筋肉痛などのインフルエンザに似た症状の後、悪化すると髄膜炎や脳炎を引き起こし、けいれん、めまい、知覚異常などの症状を呈します。とくにロシア型春夏脳炎の死亡率は20%に達するといわれており、回復しても神経の後遺症が残ることがあります。
ダニ媒介性脳炎の予防法としてはさいわいワクチンがありますが、最大の予防法は流行地域の森林に入るときはダニに刺されないように長袖や長ズボンを着用することです。足はサンダルなど肌を露出するものは避けましょう。