No.85
帽子をかぶるとはげやすい? 初の実験結果が
頭皮や毛髪への影響を実験で解明
「帽子をかぶる人ははげやすい」という言葉はよく耳にしますが、一方で帽子は紫外線や衝撃から頭を保護したり、冬場の保温の役割などを担っています。いったい帽子はかぶるべきなのか、かぶらぬべきなのか?そんな疑問についての初めてといわれる科学検証結果がこのたび発表され、注目を集めています。
わが国で帽子を週2時間以上かぶる人の数は推計のべ2000万人(うち工場作業員約740万人、土木・建築作業員約400万人)に上るといわれています。
そんな中、頭皮や毛髪と帽子の関係を研究する専門家グループ「帽子内環境研究会」が実験を行い、この6月そのデータが公表されました。
同研究会の実験では、成人男性51人に新品のヘルメットをかぶって自転車型トレーニングマシンの有酸素運動を3時間行ってもらい、運動中のヘルメット内部の温度と湿度を計測。運動前や運動後、運動をした後の洗髪後の計3回、頭皮の血流や汚れ具合、細菌量などを計測しました。
ヘルメット内部は熱帯並みの高温多湿に
実験の結果、ヘルメット内部の温度は運動開始後約30分で約30度に達しました(屋外最高気温19?23度)。また、湿度は約80%?100%(屋外平均湿度31?96%)と、温度・湿度はシンガポールやマレーシアの年平均や埼玉県熊谷市の8月平均とほぼ同等で、「ほぼ全員が不快と感じる」不快指数80台に相当することが確認されました。
さらに、測定前から衛生基準値を超えていた頭皮の汚れがさらに悪化するとともに、ニキビを引き起こすアクネ菌など13菌種も検出。細菌量が運動によって増加することが確認されました。
頭皮は汗や皮脂などが大量に分泌される部分で、帽子を長時間かぶっていると蒸れてしまいます。 とくにヘルメットは通気性が悪いため蒸れやすく、夏場は高温・多湿になって汗や皮脂で頭皮がひどく汚れてしまいます。分泌された汗や皮脂は、湿気を好み皮脂を餌にする細菌の繁殖を呼び、脂漏性皮膚炎などによって毛孔が炎症を起こして脱毛につながってしまうのです。
今回の実験結果を受け、研究会では「過酷な帽子内の環境が頭皮や毛髪に悪影響を及ぼす可能性は十分に考えられる」と示唆。今後はかつらなども実験対象に加えて研究を続けるとしています。