発熱やせきなどから重症化。原因はウイルス?
子どもたちの原因不明のまひが昨年夏から相次いで報告されています。
国立感染症研究所の発表では、昨年8月から12月3日までに大人も含めて26都府県で66人の患者が報告され、発症時期は9月に集中。年齢別には6歳以下が41人と最多で、20歳未満が9割強を占めており、性別は男性35人、女性30人、不明1人となっています。
まひを起こした患者の一部からは「エンテロウイルスD68」が検出されましたが、このウイルスは「エンテロウイルス」というウイルスの一種です。エンテロウイルスは100種類以上のウイルスの総称で、鼻風邪のほかポリオ(小児まひ)や手足口病などの原因ともなり、とくにポリオはまひ症状を引き起こすことで知られています。
子どもを中心に夏から秋に流行
今回検出されたエンテロウイルスD68は3?7日と言われる潜伏期間を経て、せきや発熱、くしゃみや鼻水などといった風邪によく似た初期症状の後、筋肉痛や脱力感などが現われますが、風邪と初期症状が酷似しているためエンテロウイルスとは気づきにくくなっています。重症化すると、喘息や重度の呼吸困難にくわえて手足のマビなどの神経障害を引き起こします。
患者は子どもが中心で、夏から秋に流行。米国では昨年から今年にかけてこのウイルスに1000人以上が感染し、カナダでも感染者が出ています。一方、国内では2005年以降200人以上の感染者が見つかっています。
いまのところエンテロウイルスについてははっきりとしたことが分かっておらず、D68型に対してもワクチンをはじめとする決定的な治療法が確立されていないため、対処療法などによって症状を和らげるほかないのが現状です。
また予防については、くしゃみなどの飛沫感染や患者などとの接触感染によって感染することが分かっており、患者との直接・間接の接触を避けるのはもとより、マスクの着用や手洗い、うがいなどを徹底することが必要となります。