「ラクトフェリン」のすごい効果とは?
今冬、新型ノロウイルスが猛威を振るっています。新型で免疫を持たない人がほとんどのため、全国で感染者数が急増。2006年以来の高水準となっています。
しかし、ノロウイルスに対する有効な抗ウイルス薬はいまだに開発されておらず、対策は手洗いなどの予防や対処療法にとどまっているのが現状です。そんな中、ある物質がノロウイルス感染を防ぐ効果があると注目されています。それは「ラクトフェリン」という物質です。
ラクトフェリンは人をはじめとする哺乳動物の母乳や涙、唾液などに含まれるたんぱく質(糖たんぱく質)で、生まれたばかりで抵抗力の弱い乳児を感染症などから守る成分として、さまざまな作用を示すことが知られています。
そんなラクトフェリンが最近ノロウイルス感染を防ぐ効果があると注目され、ラクトフェリンを多く含むヨーグルトやナチュラルチーズなどが人気を博しているのです。
いったいラクトフェリンはどのようなメカニズムによってノロウイルス感染を防いでくれるのでしょうか?
腸の表面に付着してノロウィルス感染を抑制
森永乳業の研究では、保育園児にラクトフェリン入りの食品を16週間食べてもらった結果、ノロウイルス感染性胃腸炎の発症率が有意に低くなったという結果が得られたといいますが、そのメカニズムはいったいどのようなものなのでしょうか。
ノロウイルスは感染するにあたって、腸などの消化管の表面の細胞に入り込むことで、激しい下痢などの症状を引き起こします。
これに対して、ラクトフェリンは腸の表面の細胞に結合することで細胞をノロウイルスから守り、感染を防いでくれます。さらに、ラクトフェリンから作られるラクトフェリシンという物質がノロウイルスの表面に結合することでも、ノロウイルスが腸の表面の細胞に入り込むのを防いでくれます。こうした2つの働きによって、ラクトフェリンはノロウイルスが腸の細胞に入り込むのを防いで、感染を抑制してくれるのです。
さらに、ラクトフェリンは免疫力を活性化させる働きもあることから、ノロウイルス感染性胃腸炎の発症を抑制したり、症状を緩和してくれる作用もあるとされています。