カラダの健康トピックス

医療
2015/12/01

No.78
WHOが加工肉を発がん性物質に分類
h4>赤肉も「発がん可能性物質」に。衝撃広がる
去る10月26日、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん研究機関(IARC)はハムやソーセージなどの加工肉は発がん性が認められるとする発表を行いました。IARCの作業グループが過去の約800の研究論文を調査し、加工肉や赤身肉の発がん性を総合的に評価した研究によるもので、研究成果は医学専門誌「The Lancet Oncology」に発表されました。
研究では、ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉を摂取すると大腸がんのリスクが増加、摂取量が増えればリスクが高まり、毎日約50グラムの摂取で大腸がんにかかるリスクを18%高めることが判明したといいます。
その結果IARCは、加工肉は発がん性が十分認められ、大腸がんになるリスクがあると結論づけ、「グループ1(発がん性がある)」と判定。同じグループ1にはタバコやアルコール、アスベストなども分類されています。
さらにIARCは、赤身肉についても、「グループ2(おそらく発がん性がある)」と判定。牛や豚、馬などの赤身肉100gを食べると、大腸がんのリスクが17%高まると示唆。世界中に衝撃が広がりました。

「なにを食べればいい?」戸惑いや業界の反発も

今回の発表の結果、「なにを食べればいいのか?」という一般消費者の不安はもちろん、食肉業界の激しい反発を招いています。
わが国では、国立がん研究センターが「平均的摂取量ならば、大腸がん発生のリスクはないか、あるいは小さいため、極端に量を制限する必要はなし」との見解を発表。不安の鎮静化をはかりました。
同センターの研究によると、毎日100グラム以上肉類を食べる男性や、毎日80グラム以上赤肉を食べる女性は大腸がんのリスクが高まるものの、平均的摂取量におけるリスクの上昇はみられなかったといいます。
さらに、日本人の1日の肉摂取量は加工肉は13グラム、赤肉は50グラムで、欧米より少なくなっているそうです。
一方、批判や問い合わせが殺到したWHOも10月29日、「発表は保存加工肉の消費抑制を勧めた2002年の報告書を追認したにすぎず、まったく食べないように求めるものではない」とする声明を発表。来年には食生活と病気の関係を調べる専門家グループが、加工肉の摂取が公衆衛生にもたらす影響の調査を開始することも付け加えました。

TOP >> カラダの健康トピックス >> 記事