No.77
新型ノロウィルスが急増中。変異で感染力増強
h4>免疫がないため、冬にかけて大流行の恐れが
新型ノロウィルスの感染が広がっています。これまでのノロウィルスは「G?・4」という型のウィルスでしたが、今年に入ってこれまでとは違う型の「G?・17」というウィルスが急増して、いまでは旧型を完全に凌ぐまでになっています。すでに中国や台湾、米国などでも類似のウィルスが見つかっており、新たなウィルスの登場で爆発的な流行が懸念されているのです。
これまで毎年のように流行を繰り返してきたG?・4型ウィルスに対してはすでに多くの人が免疫を持っていて、過去最悪だった2006年のような大流行はなくなっています。一方、新型のG?・17型はG?・4型の人への感染にかかわる部分が変異したもので、感染力が大幅に強化されています。
しかも、新型への免疫を持っている人はいないため、ノロウィルスの流行の季節である秋から冬にかけて2006年をしのぐ大流行の恐れがあるとして医療関係者が警戒を呼びかけているのです。
強力な感染力に注意。手洗いやうがいの徹底を
ノロウィルスに感染しても、免疫力の強い人は少し熱っぽくなるぐらいで、発症しなかったりすることも多いのですが、免疫力が弱い高齢者や乳幼児が感染すると、高熱などを発して、嘔吐や下痢が続くなど重症化する場合があり、嘔吐物が喉に詰まって誤嚥性肺炎を引き起こして死亡することもあります。
とくにノロウィルスが怖いのは感染力が強いことです。乾燥や湿気に強く、熱や酸、アルコールもへいちゃら、しぶとく生き残って人へと感染できるのを待ちます。感染ルートは生の魚介類などからですが、感染者の嘔吐物や便から飛沫感染するケースが多く、集団感染の原因となっています。
ノロウィルスへの感染予防には、従来のノロウィルスと同様に手洗いやうがいなどの徹底や、患者が出た場合は嘔吐物などの処理に慎重を期さねばなりません。貝などを食べる際には加熱するのを心がけてください。
感染した場合の治療法としては、困ったことにいまのところノロウィルスに効果のある薬はなく、対症療法として水分や栄養を補給して脱水や体力消耗を防いだり、点滴などを行うのみです。