最初は微熱、咳、鼻水など風邪に似た症状
「リンゴ病」の患者報告数が7月の時点で過去10年の同期で最多となったことが、国立感染症研究所のまとめで分かりました。
リンゴ病は正式には「伝染性紅斑」という流行性の発疹性疾患で、子どもを中心に5年ごとに流行します。原因は「ヒトパルボウィルスB19」というウイルスで、保菌者の咳やくしゃみ、ツバなどに含まれ、感染方法としてはツバなどから感染する飛沫感染と、手すりやドアノブなどに付着したウイルスに触れることで感染する接触感染とがあります。
症状としては、ウイルスに感染してから間もなく微熱、咳や鼻水などを発しますが、日焼けや夏風邪などと間違えやすいため、見逃されるケースが多くなっています。その後10?20日くらいの潜伏期間を経て、両頬に赤い発疹(紅斑)が出て、痒みをともなうこともあります。さらに手足、胸や背中などに網目状の発疹が現れ、通常は1週間ほどで消えますが、数週間にわたって発疹などを繰り返すこともあります。
とくに妊婦は注意。長引くと重症化の恐れも
リンゴ病は子どもの場合は重症化することはほとんどありませんが、大人の場合は注意が必要です。大人は発疹が出ない場合も多く、軽く見られがちですが、場合によっては発熱や頭痛、関節痛、全身の倦怠感などを引き起こし、医療機関を受診してはじめてりんご病と診断されるケースが多くなっています。重症化すると、関節痛などで歩行が困難になることもあります。
とくに妊婦は胎盤を通じて胎児が感染することがあるので注意が必要です。ひどい場合は胎児の赤血球が減少して貧血を引き起こしたり、むくみが悪化する「胎児水腫」になったりして、流産や死産を招く恐れもあるからです。保育園や幼稚園に通う子どもから感染するケースが多いのでくれぐれも気をつけてください。
リンゴ病は一度感染すれば生涯にわたって免疫が得られますが、ワクチンなどの効果的な予防法はないので、日ごろから手洗い、うがいなどを欠かさないようにして、混雑した場所にはなるべく近づかないようにしてください。