カラダの健康トピックス

医療
2015/05/01

No.71
お酒に弱い人は心臓病に注意が必要

遺伝子がお酒の強さを左右する

アメリカのスタンフォード大学の研究チームの研究によると、お酒に弱い体質の人は心臓にも注意が必要なことが明らかになりました。お酒に弱い遺伝子型を持つ人が心筋梗塞を引き起こすと、心臓に大きなダメージを受けやすいことが分かったということで、論文はアメリカの医学誌「サイエンス・トランスレーショナル・メディシン」の電子版に発表されました。
実はお酒に強いか弱いかは生まれつき決まっていて、親から受け継いだ遺伝子によるものなのだそうです。お酒の主成分であるアルコールは胃などの消化器官から吸収されると、肝臓に運ばれ、ADH(アルコール脱水素酵素)という酵素によって「アセトアルデヒド」という物質に変えられます。
アセトアルデヒドはさらにALDH2(アセトアルデヒド脱水素酵素)という酵素によって分解され、酢酸となって体外へ排出されますが、お酒に強い遺伝子の人はこのALDH2の活性が強く、アセトアルデヒドをどんどん分解することができるのです。一方、お酒に弱い人はこの酵素の活性が弱かったり、まったく起きなかったりして、アセトアルデヒドを分解する力に欠けるため、すぐに酔いが回ってしまうのです。

日本人などに多い酒弱遺伝子型

白人や黒人のほとんどはALDH2の活性が強い遺伝子を持っていて、生まれつきお酒に強く、フランス人などは水代わりにワインを飲んでいるほどです。一方、ALDH2の活性が弱い遺伝子の人は日本人や中国人、韓国人などの東アジア系に多く、日本人の40%が活性が弱く、活性が起きない人も4%いることが分かっています。
スタンフォード大の研究チームは、東アジア系のお酒に弱い遺伝子を持つ5人と、弱くない遺伝子の5人の被験者の皮膚細胞から作ったiPS細胞を心筋細胞に成長させ、ALDH2との関係を調査しました。
ヒトが心筋梗塞を引き起こすと活性酸素が発生しますが、ALDH2はこの活性酸素を解毒する作用も持っています。しかし、お酒に弱い遺伝子の人は心筋細胞でALDH2が活性化されにくいため、活性酸素を十分に解毒できず、心筋細胞が死にやすくなってしまうことが調査の結果明らかになったのです。
今回の研究でお酒に弱い人が心筋梗塞を引き起こすと、非常に危険なことが明らかになったことで、心臓疾患などの持病を持つお酒に弱い人は、さらなる注意が必要でしょう。

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