No.68
男は女よりインフルエンザにかかりやすい?
呼吸器病により弱いとハーバード大が発表
世界中でインフルエンザが猛威を振るう中、インフルエンザに関する注目すべき研究成果が発表されました。ハーバード大学の研究チームが、男性は女性よりもインフルエンザをはじめ、肺炎や他の呼吸器病に弱いことを発見したと医学誌「ライフサイエンス」に発表したのです。
ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、女性ホルモン「エストロゲン」が免疫システムを活性化する一方、男性にはこの女性ホルモンがないことで感染してしまうことを確認。マウスを使った実験では、エストロゲン1錠の摂取によって、オスのマウスもメスのマウスも細菌性肺炎を治癒できることが明らかになりました。
この結果、女性ホルモン(エストロゲン)を持つ女性は呼吸器病への抵抗力がある一方、女性ホルモンを持たない男性は呼吸器病に侵されやすいと示唆されたのです。
女性ホルモンを分泌して免疫強化
同大学院のレスター・ゴブジック教授によると、エストロゲンの分泌によって体内の酵素(3型一酸化窒素合成酵素:NOS3)が活性化されることで、メスのマウスは感染に対する免疫が強化されたといいます。研究チームはマウスの肺に肺炎連鎖状球菌を感染させたことで、肺炎の回復を加速することができるエストロゲン療法を発見することができたのです。
他のテストでは、上記酵素産生のための遺伝子反応を除去すると、メスのマウスが感染への抵抗性をなくしてしまうことも明らかになっており、最終的にはこの研究がインフルエンザによる細菌性肺炎合併のリスクを減少させるのに役立つことが期待されます。
ゴブジック教授も、NOS3をターゲットにした既存の薬品の有効性を示唆するとともに、マウス実験で肺炎への抵抗性を十分に改善できたことは大変喜ばしいと語っています。