No.67
人工甘味料は血糖値を下がりにくくしていた
腸内細菌バランスが崩れて代謝異常に
肥満や生活習慣病などを気にして、カロリーゼロをうたい文句にする人工甘味料を使ったダイエットコーラやコーヒーシュガーを愛用している方は非常に多いようです。ところが、実は人工甘味料には血糖値を下がりにくくする作用があるとする研究結果を、イスラエルの研究チームが昨年9月、英科学誌ネイチャー電子版に発表。大きな反響を巻き起こしました。
長年にわたって人工甘味料の研究を行っているイスラエルのワイツマン科学研究所の研究チームによると、マウスにサッカリン、スクラロース、アスパルテームなどの代表的な人工甘味料入りの水を与え、マウスの体の変化を調べたところ、腸内細菌のバランスが崩れて、肥満につながる腸内細菌が増加。血糖値が下がりにくくなる耐糖能障害を示したことが明らかになりました。
糖尿病などの生活習慣病リスクが増大
さらに研究チームは人工甘味料のヒトへの影響を探るため、381人の被験者を対象にした調査も行いました。その結果、一部の人工甘味料の継続摂取によって体重や腹囲の増加や、血糖値にかかわる指標の上昇がみられるのを確認。消化や代謝にかかわる腸内細菌のバランスが変化して、血糖値が下がりにくい状態になることが明らかになりました。
今回の研究結果を受け、研究チームは人工甘味料がカロリー摂取量を抑えるのに貢献する一方で、糖尿病や肥満などの生活習慣病のリスクを高めたり、伝染病を引き起こしたりする可能性があることを示唆。「人工甘味料の影響について再評価する必要がある」と警告しています。
一方、人工甘味料の健康への影響はないとする別の研究結果も出ており、人工甘味料関連団体は今回の研究結果に対して「科学的根拠に乏しい」と反意を示しています。いったいどちらの言い分が正しいのか、今後の論議に注目が集まっています。