No.62
脳の老化防止に“ブレインフード”「クルミ」が効果
認知機能を改善するオメガ3脂肪酸がたっぷり
超高齢化社会にともなって増える一方の認知症。その患者は65歳以上の高齢者の約10%に上ると言われていますが、発症を防ぐ有効な方法はまだ発見されていません。
そんな中、いま注目を集めているのが「クルミ」。クルミは脳によい成分や脳に似た形から“ブレインフード”と呼ばれ、脳の活性化に役立つことがこれまでも知られていましたが、最近の研究で高齢のラットにクルミを含む食事を与えることで加齢性の運動障害や認知障害が改善できることが判明したのです。
クルミにはポリフェノール、ビタミンB1、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄などの有効成分が含まれており、とくに「オメガ3脂肪酸」が豊富です。DHA、EPA、ALAなどなどのオメガ3脂肪酸は、認知機能の改善に役立つことがこれまでにも明らかになっており、これを豊富に含むクルミが認知症を防ぐのではないかと考えられているのです。
活性酸素予防効果や血糖値低下効果も
また、クルミは認知症の約7割を占めるアルツハイマー症の原因となるアミロイドβタンパクが脳内で凝固するのを防ぐとともに、凝固したアミロイドβタンパクを分解する働きがあることも判明しています。さらに、新しい神経細胞の産生を促進するとともに、既存の神経細胞を活性化して、神経伝達を改善。くわえて、神経伝達物質を作るために必要なコリンも多く含まれています。
またクルミには、体内で発生する有害な活性酸素を除去するビタミンEやポリフェノールなどの「抗酸化物質」が豊富に含まれおり、脳神経細胞の酸化を防ぐことで認知症を予防してくれます。とくにブドウなどに多く含まれる「ミリセチン」というポリフェノールは強力な抗酸化作用で知られ、ぶどうを原料とする赤ワインが認知症予防になるのもこのミリセチンが豊富に含まれているためです。
さらに、クルミには血糖値やコレステロール値を下げる働きもあり、その結果として糖尿病、心臓病、脳梗塞、がんなどの生活習慣病の予防効果も合わせ持つまさにスーパー健康フードなのです。