てっぺんハゲの人は要注意
日本人の成人男性の薄毛人口は約1300万人、薄毛率は約26%と、アジアではトップクラスで、最近では薄毛で悩む若者も目立っています。
そんな中、薄毛の男性は髪の毛のある男性に比べて心筋梗塞や狭心症などの心臓病を発症するリスクが高いことが、東京大学の研究チームの研究で明らかになりました。
同研究チームによると、欧米の30?80代の男性約3万7千人を11年以上経過観察して薄毛と心臓病の原因となる冠動脈疾患の関係を調べた6つの医学論文のデータを分析。薄毛の進み具合と心臓病の発生率との関係を調べました。
すると分析の結果、頭頂部がはげている男性は髪の毛のある男性に比べて心筋梗塞や狭心症などの心臓病を発症するリスクが32%高く、60歳以下では44%に達することが明らかになりました。一方、おでこが後退するタイプの薄毛の男性ではリスクは大きく増加しておらず、脱毛が進むほど高くなる心臓病のリスクも頭頂部が薄い男性に限られたそうです。
心臓病予防の一助となる可能性も
薄毛と心臓病の関係はまだはっきりと分かっていませんが、薄毛と糖尿病などとの関連についてはこれまで一部で指摘されてきました。また、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患は、心臓に血液を送る冠動脈が血栓や動脈硬化で詰まって酸素の供給が途絶えるために発症しますが、こうした血栓や動脈硬化は生活習慣などが原因となって起こります。一方、薄毛も動脈硬化などによって毛根に栄養を供給する毛細血管が詰まって引き起こされると言われており、両者の発症の背後に食生活をはじめとする生活習慣などの共通原因があるのかもしれません。
今回の研究成果によって、薄毛と心臓病の背後に共通する生活習慣などを変えることが今後の心臓病予防対策の一助となる可能性があります。研究チームでは、頭頂部に薄毛がみられる男性、とくに若い男性は、血栓や動脈硬化などの心臓病のリスク要因を慎重に調べる必要があり、それらの人々にはそれらのリスクの軽減策を推めるべきだとしています。