No.42
あくびの医学 意外に怖い何気ない「あくび」
脳に酸素をたっぷり吸収
「あくび」は、口を大きく開けて息を深く吸い込み、腕や脚を思い切り伸ばす動作です。眠気を感じるときや疲れているとき、緊張が続いたとき、つまらなく感じているときなどに起こり、部屋の空気が悪いときや喫煙後に起こることもあります。
眠気を感じたり、つまらなく感じたりしているときは、脳が疲れたり退屈しているために脳の活動レベルが低下しています。そこで脳の活動を活発にするためにあくびが出るのです。
あくびをすると、口から息をたっぷり吸い込み、脳に酸素がたくさん送り込まれることで脳の活動が活発になります。さらに、顔や腕脚の筋肉を思い切り伸ばすことで脳を刺激して働きを活発にし、意識を明瞭にします。
また、部屋の空気が悪いときやタバコを吸ったときには、一酸化炭素やタバコの煙に含まれるニコチンなどによって血流が悪化し、脳への酸素供給が低下しています。そのため脳内の酸素が不足して二酸化炭素の濃度が高くなり、脳に新鮮な酸素を取り込むためにあくびが起こるのです。
あくびが止まらないのは重病のサイン?
あくびには脳の温度を下げる役割もあります。脳の活動はたくさんのエネルギーを必要とするため、エネルギーの燃焼による熱によって脳が過熱してしまいます。そこで、あくびをすることで副鼻腔の仕切り壁が動いて脳に空気を送り込み、脳の温度を下げるのです。
あくびが体の変調のサインであることもあります。疲れがたまっているためにあくびが出るときは、たっぷりと休息を取ってください。部屋の空気が悪いためにあくびが出る場合は窓を開けるなどして換気を行い、たばこが原因の場合は喫煙を慎みましょう。
とくに注意しなければならないのはあくびがなかなか止まらない場合です。あくびがなにかの病気のサインである可能性があるからです。あくびが止まらないのは、心臓疾患などで血流が低下していたり、脳疾患や睡眠時無呼吸症候群などの病気のサインである可能性があります。どうしてもあくびが止まらないような場合は、一度医師を受診されてはいかがでしょう。