カラダの健康トピックス

医療
2011/12/22

No.30
アルツハイマーの原因は「歯」にあった

かみ合わせが悪いと原因物質が増加

高齢化の進展とともに認知症の原因の一つであるアルツハイマー病の治療が課題となっていますが、歯のかみ合わせが悪いとアルツハイマー病の原因となるタンパク質が脳に増えることを岡山大大学院森田学教授のチームが実験で突き止め、研究成果が米科学誌「ニューロモレキュラー・メディシン」に掲載しました。

アルツハイマー病は「アミロイドベータ」というタンパク質の塊が脳内に異常に蓄積し、とくに記憶を司る「海馬」という部分の神経細胞を傷つけるのが一因とされています。森田教授のチームは、歯が少なかったり、かみ合わせが悪かったりするとアルツハイマー病を発症しやすくなるという調査結果に注目。奥歯を削ってかみ合わせをおかしくしたラットと、正常なラットをそれぞれ6匹ずつ8週間飼育した後、ラットの脳の海馬を取り出してアミロイドベータの蓄積量を調べました。

かみ合わせの改善が病気の予防に

実験の結果、削った奥歯でかみ合わせを悪くしたラットでは、血中のストレスホルモンが増大。その影響からか、歯を削っていないラットに比べてアミロイドベータ量が約2?2.5倍、最大では7倍に達したといいます。

一方、削った奥歯でかみ合わせを悪くして4週間飼育した後、削った奥歯にかぶせ物をしてかみ合わせを改善し、その後4週間飼育したラットでは、ストレスホルモンとアミロイドベータがほとんど増加せず、歯を削っていない正常なラットとほとんど変わらなかったといいます。

歯のかみ合わせを改善することでアミロイドベータが減少するという今回の実験結果から、森田教授は「かみ合わせが悪いと脳に刺激が伝わりにくくなり、ストレスを感じて、アミロイドベータが増えるのでは」と分析。「歯が抜けていたり、入れ歯が合わなかったりする人は、治療をすることでアルツハイマー病の予防や進行を抑えられる可能性がある」としています。

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