強感染力の水虫菌が日本上陸
湿気の多い季節を前に、海外から持ち込まれた新型の水虫菌が全国に拡大しています。
すでに10年ほど前から国際試合に参加した柔道やレスリングなどの格闘技選手の間で、新型水虫菌の感染が広がりはじめていました。新型水虫菌は感染力が強く、自覚症状もないため、次第に一般格闘技選手やその家族、友人たちへと感染。事態を重く見た競技団体が大会に医師を派遣するなど、対策に力を入れたことで一時沈静化したものの、最近になって再び感染の拡大が懸念されています。
問題の水虫菌は南米に多い「トリコフィトン・トンズランス」という白癬(はくせん)菌の一種。従来の水虫菌に比べて皮膚への侵入速度が速いため、感染力が非常に強く、格闘技などで肌が触れただけで皮膚の小さな傷や毛穴などから感染。一方、これまでの水虫菌と違って足には感染しにくいといいます。
新型菌は感染しても自覚症状がほとんどなく、たとえ症状があっても半年ほどで消えてしまうため、治療されないケースも多いのですが、実際には生き続けているため、さらに感染を広げてしまいます。
悪化すると、脱毛などの後遺症も
新型水虫菌の症状としては、体部に感染した場合は、顔や首、胴体や腕などにかゆみや環状の紅班(タムシ)を生じます。一方、頭部に感染した場合は頭毛に侵入し、軽症の場合はふけが出る程度ですが、悪化すると頭皮が膿んでかさぶた(シラクモ)を生じ、ひどい場合は脱毛などの後遺症が残ることもあります。
抗真菌シャンプーや塗り薬などによる治療でほとんどが完治しますが、頭毛や体毛の中にまで菌が及んでしまうと治りにくく、内服薬の服用を6週間以上続ける必要があります。
2012年度には全国の中学で武道が必修化されるため、新型水虫菌感染拡大の恐れが懸念されています。新型菌の予防には、ユニホームやタオルをよく洗濯して衛生を保ち、練習や試合後はシャワーを浴び、抗真菌シャンプーや液体石けんで頭や体をよく洗うようにしてください。そして、症状の早期発見に努め、感染が疑われる選手はすぐに受診し、練習や競技に参加しないなどの対策が必要でしょう。