カラダの健康トピックス

医療
2010/03/23

No.14
水面下で広がる結核の脅威

結核はもはや過去の病ではない

3月24日は「世界結核デー」です。
現在世界では、発展途上国や旧社会主義諸国を中心に人口の3分の1近くが結核菌に感染しているといわれています。毎年約900万人が発病、170万人が命を落としており、世界的な人口増加もあって患者数は上昇の一途を辿っています。
わが国でも、かつては結核が死亡原因の一位を占めていました。しかし、戦後優れた抗生物質が相次いで登場。患者数が激減したことで、結核は「過去の病」と考えられるようになっていました。
ところが、近年そんな状況は一変してしまいました。年々減少していた新規登録患者数の減少ペースが1980年代に入って鈍化。1997年からはついに上昇に転じ、99年には「結核緊急事態宣言」が出されるに至ってしまったのです。最近でも人気女性お笑いコンビのメンバーが肺結核に感染して緊急入院。大きな衝撃を与えたことにも象徴されるように、結核はもはや過去の病ではなくなっているのです。
さいわい現在のわが国の結核の新規登録患者数は再び減少に向ってはいるものの、年間の新規患者数は約30,000人、人口10万人あたりでは約23人と、欧米先進諸国と比較して4倍以上の高水準にあり、もっとも多い感染症の一つとなっています。

抗生物質が効かない耐性菌が増加

わが国の結核患者の最近の特徴として、年齢が高くなるにつれて患者率が増加、発生患者の半数以上が65歳以上と高齢化が目立っています。さらに、重症化の増加、貧困層や既往症患者における感染増加も目立っています。
とくに憂うべき問題は、既存の治療薬が効きにくい薬剤耐性結核が増加していることです。結核は潜伏期間が長く、慢性化することが多いため、患者は知らぬ間に感染して、菌を周りの人に撒き散らしてしまいます。くわえて、結核菌の感染手段は風邪と同じ「空気感染。空気を介した空気感染は咳などによる飛まつ感染に比べて伝染力が桁違いなため、もし薬剤耐性結核が流行すれば深刻な事態になると多くの専門家が危惧しているのです。

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