カラダの健康トピックス

医療
2017/07/03

No.97
HIV感染者の平均余命が非感染者並みに

過去の感染者にくらべて平均余命が10年長く

HIVに感染した若年者の平均余命が非感染者並みの水準に達していることがイギリス・ブリストル大学の研究チームの研究で明らかになりました。エイズの流行が始まった1980年代当時エイズは死の病とさえ言われていましたが、近年の治療現場でいったい何が起こっているのでしょうか?
ブリストル大学の研究によると、2010年に「抗レトロウイルス薬」の治療を始めた20歳の若者は、1996年に治療を始めた感染者にくらべて平均余命が10年長いことが明らかになりました。
同大学の研究チームは欧州と北米のHIV感染者8万8500人の事例を調査。その結果、2008年から2010年までに治療を始めた人は、1996年から2007年までに治療を始めた人より死亡率が低いことが分かりました。2008年以降に抗レトロウイルス薬治療を始めた少ウイルス量の患者(20歳)の平均余命(治療開始後1年)は78歳と、否感染者とほとんど同じだったというのです。

最新治療現場で何が起こっているのか?

抗レトロウイルス薬は3種類以上の薬の組み合わせでHIVウイルスの遺伝子転写を抑えることで、ウイルスの免疫システム攻撃を防止、感染を抑えます。最近では効果が高いうえウイルスが耐性を持ちにくい新薬が開発され、副作用も少なくなっています。
ちなみに、日本は先進国の中で唯一エイズ患者が増加している国といわれ、2015年にわが国で新たに報告されたHIV 感染者数は 1,006、AIDS患者数は 428 で、両者合わせると1,434(厚生労働省)。感染者の累計では25,995人となっています。
さらに、2016年の新規感染者数も1,440人(速報値)と過去最多に迫っています。しかし、その一方で死亡者数はこの10年ほぼ横ばいとわが国でも新薬治療が効果を挙げていることを示唆しています。

TOP >> カラダの健康トピックス >> 記事