カラダの健康トピックス

健康
2015/07/02

No.73
朝より夜のストレスで体内時計に乱れ

体内時計が乱れると生活習慣病に

早稲田大学理工学術院の柴田重信教授らの研究グループは、マウスを用いた実験で朝よりも夕方や夜のストレスの方が体内時計を狂わせることが明らかになったと発表。研究成果を6月15日付けのオンライン英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載しました。
体のほとんどの細胞には1日のリズムをつかさどる体内時計(約24時間周期の概日時計)が存在し、時計遺伝子によって制御されています。その体内時計が乱れると肥満や糖尿病、がんなどの発症リスクが高まることや、ストレスホルモンが体内時計に影響を及ぼすことなどがこれまでに分かっていますが、ストレスが個体レベルで体内時計にどのような影響を与えるかは分かっていませんでした。
研究グループは、こうしたストレスの体内時計に対する影響についての実験を行い、拘束ストレスをマウスが寝ている時刻に2時間負荷しました。その結果、肝臓、腎臓、唾液腺、副腎、脳内の海馬や大脳皮質などの体内時計の時刻が早まることが明らかになったそうです。

上司が部下を怒るのはなるべく朝に

また、マウスへのストレス負荷の時刻を変えてみると、朝(起き始め)ではまったく影響がありませんが、夕方では体内時計が遅れ、夜(寝始め)では体内時計が組織間でバラバラになってしまうことが分かりました。夜の始めのストレスでは、肝臓と唾液腺で時計の時刻が真逆になり、腎臓の体内時計もストップして臓器間の時差ボケ状態になってしまったそうです。
さらに、社会的恐怖ストレス(体の大きな攻撃的なマウスと仕切りを挟んで対面)や、高所不安ストレス(高さ30cm以上の小さいステージに乗せる)によっても、体内時計が大きく乱れることも明らかになり、物理的なストレスだけでなく心理的なストレスでも体内時計が乱れることが示唆されました。
また、ストレスの代わりにストレスホルモンの投与によっても同様の変化が起こったことから、ストレスホルモンや交感神経の活性化がストレスによる体内時計変動の作用メカニズムであることも示唆されました。
今回の成果について研究チームは、「朝よりも夕方から夜にストレスが体内時計をより乱しやすいと考えられ・・会社では上司は午前中にしっかりと指導して、夜は優しく帰したほうがいい」とアドバイスしています。

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