カラダの健康トピックス

医療
2015/03/02

No.69
インフルエンザ大流行。でも、ワクチンが効かない!?

重症化して脳炎を起こす人も。いったいなぜ?

この冬はインフルエンザが大流行しました。ところが、インフルエンザを予防しようとワクチンを接種したのに、なぜかかかってしまったと訴える声をよく耳にします。さらに、かかってしまったばかりでなく、重症化して脳炎などを起こしてしまった患者さんまでいるほどです。
なぜ予防接種をしたのに、多くの人がインフルエンザにかかってしまったのでしょうか?インフルエンザにワクチンは効かないのでしょうか?
厚生労働省によると、その答えは耳を疑うものでした。実はインフルエンザの予防注射には「感染」を完全に抑える働きはないというのです。「えー!じゃあ、いったいなんのために、高いお金を出して予防注射したの?」と怒られるかもしれませんね。
でも、それだけの価値はやっぱりあるらしいのです。

しないよりした方がましなのはたしか

厚生労働省によると、インフルエンザの予防注射には感染を完全に抑えることはできないものの、発熱やのどの痛みなどの症状の「発症」を抑える効果は一定程度認められるというのです。とくに肺炎や脳症などを合併してしまう「重症化」の予防には、一定の効果があるとされています。
たとえば65歳以上の高齢者はワクチンの接種によって発症リスクを34?54%、死亡リスクを82%減らすことができ、0?15歳では1回接種で68%、2回接種で85%、16?64歳では1回接種で55%、2回接種で82%の発症予防効果があったとする報告があるといいます。
確率は100%をだいぶ下回っていますが、現在のところ十分ではないものの科学的有効性が証明されている予防法はワクチンだけというわけなのです。
さらに、予防注射が想定していたのと違う型のウイルスが流行した場合や、同じ型のウイルスでも変異したりした場合は、発症してしまうことがあります。
くわえて、ウイルスは毎年違う型が流行するうえ、ワクチンの予防効果の持続期間は5カ月程度と短いため、毎年接種が必要となります。

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