カラダの健康トピックス

医療
2014/02/21

No.56
若年突然死を招く「高血圧性心不全」

自覚症状がない「サイレント・キラー」

大ヒットゲーム「Dの食卓」などで知られるゲームクリエーターの飯野賢治さんが昨年2月、42歳の若さで亡くなられました。死因は「高血圧性心不全」。心筋梗塞などを引き起こす危険な心不全の原因となる高血圧は自覚症状がないため「サイレント・キラー」とも呼ばれ、患者数は4000万人に達するといわれています。
血圧の上昇した高血圧状態が慢性化すると、心臓がより大量の血液を送り出さなければならなくなって、心臓を動かす筋肉(心筋)が肥大化。心室壁が厚くなります。肥大が進行すると、心臓が弱って収縮・拡張する力が失われてゆき、全身が必要とする血液を十分に送り出すことができなくなる「心不全」へ移行して危険な状態となります。

肥満が高血圧の原因に

心不全の中でも危険な「急性心不全」では、冠動脈から心筋に至る血流が悪化して十分な血液が供給されなくなる狭心症や心筋梗塞、不整脈などを引き起こします。それまで症状がなかった人が急に胸が絞めつけられるように苦しくなって、呼吸困難、起坐呼吸、脈拍急増、血圧低下などの症状が出現。ひどい場合は心筋が酸欠状態になって心筋細胞が死滅してしまい、心停止することもあるので緊急の治療が必要です。
とくにいまのような寒い季節は、暖房の効いた部屋からトイレやバスルームなどの寒い部屋に急に移動する際に、ヒートショックで血圧が急上昇し、急性心不全を発症してしまうので要注意です。上に述べたような症状が出た場合はすぐに受診してください。
心不全患者の実に50%以上に高血圧が認められるといい、高血圧性心不全を防ぐには血圧を下げることが一番です。高血圧の原因となる肥満の解消、減塩、節酒や禁煙などに加えて、あまりストレスを貯めないようにしてください。くわえて、薬物療法で肥大してしまった心臓を縮小することでも発症リスクが低下します。

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