カラダの健康トピックス

健康
2013/03/13

No.44
体内時計が昼夜の尿量を調節していた

睡眠時間を調節する「体内時計」

24時間のリズムを刻む体の「体内時計」が、膀胱に溜められる尿の量を夜間は多く、昼間は少なく調節していることを京都大学などのチームがマウスを使った実験で解明し、イギリスのオンライン科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」に発表しました。

人間の体の中にある体内時計は、睡眠はもちろん体温、血圧、ホルモン分泌などのリズムを24時間周期で調整しています。体内時計は脳の中にある「主時計」と、全身の細胞にある「末梢時計」の2種類からなっていて、2種類の時計のリズムが同調することで1日のリズムが正確に刻まれているのです。

体内時計のうちの主時計は脳内にある1日25時間刻みの時計で、概日リズムとも呼ばれ、毎朝日光の刺激を目に受けてリセットされることで、1日24時間に調整されています。この体内時計を制御しているのが「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子で、現在10数種類あることが分かっています。

夜尿症や頻尿の治療に光が

幼児期に多い夜尿症(おねしょ)やお年寄りに多い睡眠中の頻尿は、膀胱に溜めることができる尿量のリズムが崩れることで引き起こされます。人間の膀胱の筋肉は昼間は縮みやすくなることで、尿を多く溜めないようにして排尿を促しています。一方、深夜になるとは縮まなくなって、尿を多く溜めることができるようになり、睡眠が妨げられないようにしています。この膀胱の筋肉の昼夜の伸縮リズムを体内時計が調節していることが今回明らかになったのです。

人間の体には、膀胱の筋肉を縮みやすくして排尿を促すタンパク質があって、遺伝子の一つがこのたんぱく質を作る働きを担っています。この遺伝子の働きを時計遺伝子が調節して、昼間は筋肉を縮みやすくして尿を溜めないように、夜は縮まなくして尿を多く溜められるように調節しているというわけです。

今回、体内時計が膀胱に溜められる尿の量を調節していることが解明されたことで、夜尿症や頻尿の新たな治療方法の発見につながることが期待されています。

TOP >> カラダの健康トピックス >> 記事